東越谷河畔砂丘
続いては中土手の右手、元荒川の左岸側の先に、お寺の屋根が小さく見える(上の写真の黄色い○印)。このお寺は東越谷の東福寺。遠めで分かりづらいが、東福寺のあたりは河畔砂丘(かはんさきゅう)と呼ばれる小高い丘になっている。
越谷市には、元荒川の曲流沿いに、河畔砂丘が 5箇所確認されている。案内役の越谷市郷土研究会・副会長の秦野氏が、越谷の河畔砂丘について解説してくれた。
越谷市には、元荒川の流路や流路跡沿いに五つの河畔砂丘があります。①袋山河畔砂丘②大林河畔砂丘③北越谷河畔砂丘④東越谷河畔砂丘⑤大相模河畔砂丘。東福寺は東越谷河畔砂丘の上にあります。
越谷市内の河畔砂丘については秦野氏が「河川の造った地形―越谷市内の河畔砂丘と自然堤防」で詳しく論考している。リンク先を以下に示す。
http://koshigayahistory.org/160228_bgs_hh.pdf
葛西用水とはいったんお別れ
中土手を進む。前方左手に柳が見える。柳の北側は柳町(やなぎちょう)。葛西用水は、柳の先で北西に流路を変え、いったん中土手から離れる。われわれは元荒川の右岸に沿って歩く。
新宮前橋
前方に新宮前橋(しんみやまえばし)が見えてきた。新宮前橋が開通したのは平成9年(1997)6月。久伊豆通りと青葉通りを結んでいる。
新宮前橋の下をくぐる
新宮前橋の下をくぐる。すぐ先に見えるのは宮前橋(みやまえばし)。元荒川の東西間の交通の要衝(ようしょう)として利用されてきたが、昭和34年(1959)に架けられた橋は老朽化が進み、橋の幅も狭かったことから新宮前橋が新たな交通の要衝として開通した。
宮前橋
最初のチェックポイント、宮前橋に到着。
現在の宮前橋は三回名称が変わりました。最初は、天嶽寺の前の元荒川に架けられた橋ということで、天嶽寺橋(てんがくじばし)。続いて寺橋(てらはし)。そして、現在の宮前橋になりました。
現在の橋は、昭和34年(1959)に竣工した木橋だった宮前橋を、平成15年(2003)に、人や自転車などが往来するための橋に架け替えたもの。
余談だが、昭和30年代ごろまでは、宮前橋(寺橋)の下は、公式の水泳場(寺橋水練場)になって、多くの子どもたちや親子連れでにぎわった。
宮前橋を渡る
宮前橋を渡ると、越ヶ谷久伊豆神社の参道の前に出る。参道の隣は天嶽寺(てんがくじ)の入口。
天嶽寺入口の庚申塚
天嶽寺の入口に、庚申塚(こうしんづか)と呼ばれる土で盛られた塚がある。ここには、江戸前期の文字庚申塔をはじめ江戸中期の青面金剛像塔など、8基の庚申塔が立てられている。
石塔群
庚申塚の脇には、馬頭観音文字塔をはじめ二十三夜塔(にじゅうさんやとう)や道しるべを兼ねた六十六部(ろくじゅうろくぶ)供養塔なども置かれている。
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越谷市越ヶ谷にある浄土宗の寺院・天嶽寺。参道の入口にある庚申塚には、文字庚申塔をはじめ青面金剛像塔など八基の庚申塔が立てられている。脇には二十三夜塔や道しるべを兼ねた六十六部供養塔なども置かれている。天嶽寺入口の庚申塚と石仏を調査した。
移動|元荒川左岸側市道
天嶽寺の庚申塚をあとに、元荒川左岸側の市道を上流に向かって進む。歩道はない。道幅はそれほど広くないが、自動車の往来がけっこうある。車に注意しながら一列になって道を歩く。
続いて伏せ越しの堰(ふせこしのせき)へ
葛西用水元荒川伏越
伏せ越しの堰(葛西用水元荒川伏越)に到着。越ヶ谷から大沢に入る。
逆川(葛西用水)は、古利根川(ふるとねがわ)の松伏溜井(まつぶしためい)を起点に、元荒川へと水路が続いているが、そのまま元荒川に合流するのではなく、伏越(※1)と呼ばれるこの場所で、コンクリートの管を通って元荒川の下をくぐり、元荒川の対岸(右岸側)に出て、南東に流下していく。
※1 伏越(ふせこし)とは川と用水路が立体交差する場所のこと。用水路を川に注ぐのではなく、川底をくぐらせる。逆サイフォンとも呼ばれる。
伏越の吐き口
対岸に小さく越ヶ谷御殿跡碑が見える。逆川は、越ヶ谷御殿跡碑(上の写真の黄色い○印)のうしろにある伏越の吐き口から流下していく。
逆川逆止堰跡
葛西用水元荒川伏越から逆川の左岸を70メートルほど歩くと、左手に、コンクリート製の古い水門がある。
この水門は、葛西用水元荒川伏越が建設される以前の大正13年(1924)に竣工した「逆川逆止堰」(逆流防止水門)です。現在は使われていません。
伏越ができる前は、逆川は元荒川に直接注がれていた。「洪水のときに元荒川からの逆流を防ぐために、この逆流防止水門が設けられました」と、秦野氏が教えてくれた。
「逆川」(さかさがわ)という名前の由来は、元荒川の増水で、たびたび葛西用水に元荒川の水が逆流したことに由来する。
逆流時は板のゲートをおろした
元荒川の水が逆流してきたときは、逆流防止水門の板のゲート(今はない)をおろして、逆流を防いだ。
移動|地蔵堂へ
逆川逆止堰跡から10メートルほど歩く。右手の道路脇に、トタン屋根の鞘堂(さやどう)に石塔群が並んでいる。ここは地蔵堂。こちらからは、うしろ向きになっているので、正面に回って見学することに。