塩ラーメン

塩ラーメン

高柳亭の料理をひとことで表現するなら「やさしい味」。このひとことに尽きる。麺類・一品料理・ご飯類・定食……と、高柳亭のすべての料理から「やさしい味」をたぐっていくと、最後に行き着くのが塩ラーメンだ。
 
わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ……。

荒井由実の声が…

塩ラーメン

ま、わかっても、わからなくても、どっちでもいいけど、見てください、高柳亭の塩ラーメンを(上の写真)。ね? 見るからにやさしそうな味がしそうでしょ?
 
ナルト・シナチク・ワカメにチャーシュー・ゆで卵。それに刻みネギ。透明感のある澄みきった黄金色のスープからは、黄色い麺がのぞいている。見ているだけでやさしい気持ちになる。
 
どこからか、
 
♪小さい頃は神様がいて
不思議に夢をかなえてくれた~♪
 
と、荒井由実の「やさしさに包まれたなら」が聞こえてきた。
 
わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ……。

ネギ味噌ラーメン

ネギ味噌ラーメン

高柳亭のネギ味噌ラーメンを注文するお客さんは、けっこういる。それも男女共にファンが多い。ネギ味噌ラーメンをカウンター席で食べていた常連客に聞いたところ、汗をかきながら「これ、クセになるんだよねぇ」と、答えてくれた。
 
全容は、味噌ラーメンのスープをピリ辛にして、そこに刻んだチャーシューと、白髪ねぎをたっぷり載せて、ワカメとワケギが少々……。見た目は味噌ラーメンなので、あまり辛いという印象はない。

おにぎりと相性抜群

ネギ味噌ラーメンとおにぎり

メニューには、メニューには「ネギミソラーメン(ピリカラ)」と書かれいる。「激辛」でもなく「大辛」でもなく「中辛」でもなく「ピリカラ」だから、ま、余裕だな、と思って食べたところ、ゴホッ、ゴホッと、いきなりむせた。
 
たしかに激辛ではないが、油断をすると危険だ。
 
高柳亭は、おにぎりもやっているが、これがじつにおいしい。おかかと梅干しの二種類。ボクは今回、ネギ味噌ラーメンに、おかかのおにぎりを付けてもらったが、ネギ味噌ラーメンとおにぎりの相性はきわめていい。
 
ネギ味噌ラーメンのピリ辛を、おにぎりが、まろやかにしてくれる。ネギ味噌ラーメンに麺は入れず、スープ替わりにして、おにぎりを二個食べてみたいとも思うが、それはいくらなんでも無理な注文か。

ちゃんぽん麺

ちゃんぽん麺

高柳亭のちゃんぽん麺は、しょうゆ味のスープになっている。いわゆる長崎のちゃんぽんのような白湯スープではない。
 
そもそも「ちゃんぽん」とは「いろんなものを混ぜる」というのが語源なので、いろんな具が入っていれば、それはみんな「ちゃんぽん」といえる。
 
高柳亭のちゃんぽんの具には、かまぼこ・タケノコ・しいたけ・溶き卵・ニンジン・にら・豚肉・キャベツ・キクラゲ・もやし……と、いろんな具が、細かく刻まれて入っている。まさに「ちゃんぽん」。そこにとろみをかけてある。麺は細め。

ちゃんぽん麺とおにぎり

ちゃんぽん麺とおにぎり

ちゃんぽん麺に梅干しのおにぎりを付けてもらった。高柳亭のおにぎりは隠れた人気メニュー。麺類を食べるときは必ずおにぎりも注文する、という常連客も多い。
 
それにしても高柳亭の料理はすべてがやさしい味だ。これはひとえに高柳亭のご主人と奥さんの人柄であり、料理とお客さんに対する愛情のたまものだと感じる。
 
ちゃんぽん麺を食べ終わり、幸せな気持ちに包まれた。

焼きそば

焼きそば

高柳亭の焼きそばは、見た目はフツー。「縁日の露店で売ってる焼きそばとかわらないじゃないか、どこが違うんだ!」と、最近多発しているというクレーマーじいさんが詰め寄ってきそうだが、めんどくさいクレーマーじいさんには向こうに行っててもらって……と。
 
まずは高柳亭の焼きそば、具から見てみますか。キャベツに豚肉、ピーマン、ニンジン、キクラゲ、シイタケ、もやしに桜エビ……。なんと 8種類。そこに青海苔が、たっぷり、これでもか、というぼとかかっている。
 
露店の焼きそばの具は、揚げ玉のほかに、せいぜいキャベツが入っているくらいだ。どうだ!さっきのクレーマーじじい、わかったか(おっと言葉づかいが悪かった)。どうですか、クレーマーおじいさま、おわかりいただけましたでしょうか。

麺は太麺

太麺の焼きそば

焼きそばはソース味。麺がもちもちしている。
 
高柳亭の麺類は、通常、細麺を使っているが、焼きそばは太麺を使っている。ご主人の話によると「細麺は、焼きそばだと麺がくっついてしまうので、焼きそばでは、麺がくっつきにくい太麺を使っている」とのこと。
 
へ~。細麺の焼きそばも食べてみたいなと思ったが、やめておこう。

もやしそば

もやしそば

もやしそばを食べたのは、66年の人生の中で、一回ぐらいじゃないかと記憶している。正直、あまり魅力を感じなかった。もやしそのものが安いせいもあって、なんだが安っぽく感じる。
 
それに、もやしそばなんて年寄の食うものだ。若いときはそう思っていたが、ボクもその年寄の仲間入りをしたので、晴れて、もやしそば解禁となった。これでボクも堂々と老人を名乗れる。

なんともやさしい味

もやしそばとおにぎり

もやしそばをいただく。もやしそばだけあって、どんぶり一面もやし。もやしの間から、豚こま、ニンジン、ニラ、キクラゲなどが顔を出している。そして全体にあんがかかっている。いわゆるあんかけですね。
 
スープをひとくちいただく。なんともやさしい味だ。もやしのシャキシャキ感が心地よい。麺にあんのとろみがからまって、これまたなんともやさしい味だ。
 
高柳亭のもやしそばを食べながら自分の人生を振りかえった。自分には甘く、他人に対しては、やさしくできなかったなぁ……。
 
これからの人生は、今までのトゲトゲしい態度を改め、もやしそばのようにやさしいおじいさんになろうと思った。