測量標石

測量標石

境内に、4個のたくあん石に囲まれた角柱型の石柱が埋められている。この石柱は、その土地の標高を測るための標石で、測量標石(そくりょうひょうせき)と呼ばれている。

水準点

水準点

土地の高さ(高低)を求める測量は、水準測量と呼ばれ、水準測量によって標高が正確に求められた点を水準点という(※8)。標石の頭頂部にある小さなおわん型(凸状)の印は、水準点を示す印(上の写真参照)

※8 (出典)JapanKnowledge(https://japanknowledge.com)「水準点」デジタル大辞泉 (2023年8月5日閲覧).

刻字|新方領・第九號

刻字|新方領・第九號

石柱の四面には、それぞれ銘や記号が刻まれている。神殿をうしろに見て、石柱の正面には「新方領」、右横には「第九號」と刻まれている。「號」は「号」の旧字体。

刻字|基標

刻字|基標

「新方領」と刻まれた背面には「基標」と刻まれている。

刻字|几号

刻字|几号

「基標」と刻まれた面を正面に見て、左側に、漢字の「不」に似た記号が刻まれている。この「不」の字に似た記号は、水準点を示し、几号(きごう)と呼ばれる。
 
昭和55年(1982)発行の『越谷ふるさと散歩(下)』に、この測量標石について、「基標と刻まれた[中略]この石柱は、測量の基石となるものであろう」(※9)とあるが、「几号」については記されていない。

※9 越谷市役所『越谷ふるさと散歩(下)』越谷市史編さん室(昭和55年4月30日発行)「大杉神社と大杉新田」28頁

この几号は秦野氏が発見

几号高低標

平成22年(2010)12月19日、この測量標石は、几号が刻字された几号高低標であることを、越谷市郷土研究会の秦野秀明氏が発見した。

「新方領」「第九號」「基標」「几号」か刻字されたこの測量標石については、秦野秀明氏が、「越谷市内三例目の『高低測量几号』」で詳しく論考している。リンク先を以下に示す。
http://koshigayahistory.org/767.pdf

関連サイト

また、秦野氏が、この測量標石(几号高低標)を現地調査したさいに撮影した写真は、以下のサイト(高低測量几号(几号水準点)「新方領 基標 第九號」)で閲覧可能。リンク先を以下に示す。
http://hatazoku.c.ooco.jp/niigata9.htm

境内の風景

鳥居

鳥居|大杉新田稲荷神社

石鳥居は平成19年(2007)新築。神額には、赤い文字で「稲荷神社」と刻まれている。鳥居の形は明神鳥居(みょうじんとりい)。柱の正面に「奉」「納」、柱の裏面に「平成十九年初午」「大杉新田稲荷社氏子中」、台石の裏面には寄進者10人の名前が刻まれている。

力石(?)

力石(?)

社殿の前に力石と思われる石が二個置かれている。うっすらと文字のようなものが刻まれているように見えるが、銘は確認できない。ここでは「力石のような石」としておく。

社殿

社殿|大杉新田稲荷神社

社殿は銅板葺き観音開きの格子戸造り。小さな社だ。比較的新しい。鈴緒(すずお)の胴枠に「平成三十年 初午」「奉納」とあるが、改築された年代は分からない。

大杉第二集会所

大杉第二集会所

社殿裏手の建物は大杉第二集会所。

参拝情報

大杉新田稲荷神社

大杉新田稲荷神社の住所は埼玉県越谷市大杉684( 地図 )。郵便番号は 343-0005。場所は、大杉公園通りの越谷市第二学校給食センターとセブンイレブン越谷大杉店の間にある信号を南に折れ、60メートル先の右手。
 
ベビー用品レンタル&リサイクルひよこの脇道を入った先にある。高い松の木が目印。上の写真の右手前方が大杉新田稲荷神社。道路からはちょっと見にくい場所にある。

参考文献

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

加藤幸一「新方地区の石仏」平成7・8年度調査/平成31年1月改訂(越谷市立図書館蔵)
越谷市史編さん室編『越谷市金石資料集』越谷市史編さん室(昭和44年3月25日発行)
越谷市役所『越谷ふるさと散歩(下)』越谷市史編さん室(昭和55年4月30日発行)
日本石仏協会編『新版・石仏探訪必携ハンドブック』青娥書房(2011年4月1日発行)
日本石仏協会編『石仏巡り入門―見方・愉しみ方』大法輪閣(平成9年9月25日発行)
庚申懇話会編『日本石仏事典(第二版新装版)』雄山閣(平成7年2月20日発行)
外山晴彦・『サライ』編集部編『歴史が分かる、腑に落ちる神社の見方』小学館(2007年7月15日 初版第6刷発行)