越谷市南荻島の田んぼ道にある庚申塔と石塔を調べた。調査した路傍の石仏を写真とともにお伝えする。調査日は2025年2月24日。

二基の石塔

二基の石塔|越谷市南荻島

南荻島の南南西、荻島仲良し通り沿いの田んぼ道を東に50メートルほど歩いた右手(用水路脇)に、庚申塔と主尊不明の石塔が並んでいる。

文字庚申塔

文字庚申塔

向かって右側は文字庚申塔。江戸後期・寛政3年(1791)造塔。石塔型式は山状角柱型。
 
正面の最頂部に、瑞雲に乗った日月。その下に青面金剛(しょうめんこんごう)を表わす梵字「ウーン」。中央の主銘は「青面金剛」と刻まれている。

左側面

脇銘

左側面(向かって右側)の銘は「于時寛政三辛亥」「二月吉祥日」

右側面

脇銘

右側面には「奉供養意趣者百申」「由参詣為二世安楽也」「石崎多右衛門」とある。

台石

三猿

台石の正面には三猿が陽刻されている。

言わ猿

言わ猿

向かって左側は口をふさいでいる言わ猿。

聞か猿

聞か猿

中央は両手で耳をふさいでいる猿。

見猿

見猿

向かって右側は耳をふさいでいる猿。

主尊不明の石塔

主尊不明の石塔

右側は、駒型の石塔。正面が駒型に掘りくぼめられている。主尊または主銘が掘られているようにも見えるが、劣化がひどく、何が刻まれているかは不明。

左側面

脇銘

左側面(向かって右側)に、「文政十三寅六月」と刻まれているので、江戸後期・文政13年(1830)に造塔されたことがわかる。

右側面

側面

右側面(向かって左側)にも文字らしきものが刻まれているようにも見えるが、判読不能。

後記

田んぼ道の石塔|越谷市南荻島

二基の石塔がある南荻島の西側は、昔ながらの田園地帯が今なお多く残っているが、少しずつ宅地化が進んできているので、近い将来、石塔周囲の風景は、大きく変わってしまうかもしれない。

風景写真

撮影年月日…2025年2月24日

場所

二基の石塔は、荻島小学校から荻島仲良し通りを南西に700メートルほど進んで三差路を左折。田んぼ道を50メートルほど歩いた右手(用水路脇)にある( 地図 )。東は草加バイパス、西は末田大用水。

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参考文献

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

加藤幸一「荻島地区石仏」平成14年度調査/平成29年3月改定(越谷市立図書館所蔵)
日下部朝一郞『石仏入門』国書刊行会(昭和62年4月20日)
日本石仏協会編『石仏巡り入門―見方・愉しみ方』大法輪閣(平成9年9月25日発行)
日本石仏協会編『新版・石仏探訪必携ハンドブック』青娥書房(2011年4月1日発行)