盃状穴(凹み穴)のある越谷市内の石造物を調べた。①石灯籠(大沢)②庚申塔(大里)③石(砂原)……。調査した石造物を写真とともにお伝えする。

盃状穴|凹み穴

盃状穴|凹み穴

盃状穴(はいじょうけつ)については諸説あるが、なんらかの目的で人為的に彫られたと考えられている盃状(さかずきじょう)の穴(凹み穴)で、石造物に多くみられる。呪術や土俗信仰と深くかかわっているともいわれているが、詳しいことはわかっていない。

盃状穴については、NPO法人・越谷市郷土研究会の加藤幸一氏が「石造物にみられる謎の『盃状穴』」で考察している。リンク先を以下に示す。
http://koshigayahistory.org/67.pdf

越谷市内の盃状穴

越谷市内で確認されている盃状穴(凹み穴)のある石造物は四基。

  1. 石灯籠
  2. 庚申塔①
  3. 庚申塔②

それでは順番に見ていく。

石灯籠

盃状穴のある石灯籠

一基目は、盃状穴のある石灯籠。
 
場所は、越谷市大沢にある香取神社の参道。江戸後期・文化12年(1815)建立。
 
構造は、上から①宝珠の請花(珠〈たま〉はない)②笠③火袋(つぶれている)④中台⑤竿⑥基礎⑦基壇⑧地輪……。

竿に刻まれている銘は、正面が「奉獻」、左側面(向かって右側面)に「文化十二乙亥年」右側面(向かって左側面)に「正月吉祥日」とある。
 
基礎の正面・左側面・右側面には彫刻が施されている。裏面には「獻主」「㑹田屋」「大一」「石工 八五郎」と刻まれている。

盃状穴

石灯籠の盃状穴

盃状穴(へこみあな)は、基壇(中段の台石)の四面すべての上面(じょうめん)に見られる。

正面

台石正面の盃状穴

正面の盃状穴は、なめらかで、きれいな円形をしている。

左側面

台石左側面の盃状穴

左側面(向かって右側面)の盃状穴はかなりくぼみが深い。

右側面

台石右側面の盃状穴

右側面(向かって左側面)の盃状穴はくぼみが深いものと浅いものがある。

背面

台石背面の盃状穴

背面の盃状穴は、中途半端というか、くぼみが浅い。
 
[撮影年月日]2024年11月1日

備考

この(大沢香取神社の)石灯籠の盃状穴は、越谷市郷土研究会の秦野秀明氏が発見した。

盃状穴のある庚申塔

盃状穴のある庚申塔