基礎編
器具編
続いて器具の話。コーヒーの抽出方法は、ペーパードリップをはじめネルドリップやサイフォンなどまざまな淹れ方があり、それぞれに応じて使う用具も変わってくるが、今回は、珈家で行なっているペーパードリップのさいに使う器具について解説があった。
ドリッパー
ドリッパーは大別すると台形型と円錐型に分かれる。台形型は底が一つ穴のメリタ式、三つ穴のカリタ式。円錐型はコーノ式とハリオ式。素材は陶器とプラスチックがある。ドリッパーの種類によってお湯の注ぎ方や淹れ方の要領が違ってくるので、自分の好みによってドリッパーを選ぶことがポイント。珈家では、カフェ・バッハが開発したメリタ式(底が一つ穴)の白い陶磁器製ドリッパーを使っている。
ペーパーフィルター
ペーパーフィルターはドリッパーの大きさと形に合わせたものを選ぶこと。フィルターの色は漂白してある白いものと、漂白してないパルプ色(薄茶色)のものがあるが、漂白してないほうはコーヒーに紙のにおいが移りやすいといわれている。また、漂白といっても酸素を使っているので、いわゆる塩素系漂白剤のような刺激臭がするわけではなく、安全面でも安心して使える。続いてペーパーフィルターの折り方の説明があった。
コーヒーサーバー
コーヒーサーバーは透明の耐熱ガラス製が一般的。ドリッパーの大きさに見合ったものを選ぶこと。「加熱するさいにサーバーを直接火にかけても大丈夫か?」と、参加者から質問があったが、マスターは「私は5年間この仕事をしていますが、サーバーを直接火にかけて、サーバーが割れたことは一度もありません」とのこと。ただし、サーバーを水洗いするときに水道の蛇口にぶつけて割ったことはあるそうだ。
コーヒーポット
ハンドドリップでコーヒーを淹れる場合は、コーヒーポット選びがいちばん重要。とくに注ぎ口の先端部分の形状を見ること。注ぎ口の先が細くて斜めにカットされているものがよい。このタイプだと、お湯の太さも調整しやすく、狙ったポイントにお湯を注ぎやすい。やかんだとお湯の量が太すぎてコーヒ豆の個性を台なしにしてしまう。
え~、やかんじゃダメなんですか。ボクは今までずっとやかんを使ってました
どうしてもというのであれば、お茶を淹れる急須を使うといいそうだ。
お湯を注ぐコツ
続いてコーヒーポットでお湯を注ぐコツが伝授された。
ポットに入れるお湯の量は八分目を目安に。ポットを握ったら脇をしっかりしめる。そうすると手元が安定するので狙ったポイントにお湯を注ぎやすくなります。片手だけだと重い場合は、下から重みを支えるように反対の手を手首に添えるようにすると負担が軽くなって安定性も保てます。
前半の基礎編はこれで終了。
実践編
後半は実践編。珈家のマスターから美味しいコーヒーの淹れ方が伝授された。なおコーヒーは粉で買うのではなく、豆で買って、淹れるたびに豆を挽いたほうが、風味が損なわれずにおいしく飲める。せっかくハンドドリップするのであれば家庭用のコーヒーグラインダー(コーヒーミル)を用意したい。珈家では業務用の電動グラインダーを使って、そのつど豆を挽いてハンドドリップしている。
コーヒー豆の挽き目(挽き具合)は、大きく分けると、粗挽き・中挽き・細挽き・極細挽きの四段階ありますが、ペーバードリップやコーヒーメーカーなどで淹れる場合は、中挽きが一般的です。挽き目が細かくなると濃い味わいになり、粗くなると薄めの味わいになるので、アイスコーヒーの場合は細挽き、アメリカンコーヒーの場合は粗挽きにして、挽き具合を調整します。
美味しいコーヒーの淹れ方
珈家のマスターがコーヒーの淹れ方を実演。参加者全員立ち上がって、マスターがハンドドリップする様子を食い入るように見つめる。動画撮影もオッケーということで、PWさとしさんともうひとりの男性はスマホで撮影。
コーヒー粉を入れる
ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、コーヒー粉を入れる。ドリッパーの側面を軽くたたいて、粉の表面を平らにする。平らにしておかないと、均一に蒸らすことができなくなり、抽出のさいにお湯がまんべんに行き渡らない。
一回目のお湯を注ぐ|一投目
一回目のお湯を注ぐ(一投目)。中心から「の」の字を書くようにして全体にお湯を注ぐ。お湯の温度は80度から84度。ペーパーフィルターと粉の間にはお湯をかけないこと。お湯がコーヒー粉を通らずに下に落ちてしまって風味が損なわれてしまうので。
蒸らす
お湯を注いで、粉の表面がドーム状にふくらんできたら、そのまま 20秒から30秒ほどおいて、蒸らす。この行程をはしょって一気にお湯を注いでしまうと、コーヒーの風味やうま味が出ない。
二投目
蒸らし終えたら二投目。二回目のお湯を注ぐ。コーヒーのおいしいエキスを抽出するイメージで、ゆっくりと、500円玉大に「の」の字を描きながら、そっと置くようにお湯を注ぐのがコツ。このときも粉とフィルターの境にはお湯をかけないように注意する。
最初の蒸らしと二投目(二回目のお湯を注ぐ行程)が、もっとも重要な部分です。このふたつがしっかりできているかどうかで、風味や香りが変わってしまいますので、魂を込めて、ていねいにやってください。
三投目以降
三投目以降は、一、二投目よりも、お湯の量をやや太めにしながら軽く流すイメージで同じ作業を繰り返し、目的の量まで抽出したら(ドリッパーの中にお湯が残っていても)ドリッパーをはずす。
すり鉢状になっていたら合格
抽出後、粉の表面がすり鉢状になっていたら上手に淹れられた証(あかし)。ハンドドリップ合格だ。
カップに入れる
コーヒーを淹れるときはカップにもこだわりたい。カップの色も味の感じ方に影響を与えるといわれている。珈家では、ノリタケやウェッジウッドをはじめ大倉陶園などのカップ&ソーサを揃えていて、コーヒーの銘柄やお客様の好みや気分に合わせたカップに入れて出しているそうだ。
コーヒーの美味しい入れ方が伝授されたあとはテイスティング。