家康と鷹狩と御殿
大聖寺にある家康の寝間着
徳川家康公垢付の御夜具(大聖寺所蔵)※3
まだ越谷に御殿がなかった時代に、家康が一夜の宿を借り、そのお礼として、大聖寺に下賜された「夜具」(寝間着)があります(上の写真)。大聖寺の寺宝であり、越谷市の指定文化財にもなっています。
※3 上の写真(徳川家康公垢付の御夜具)は、2017年(平成29年)9月5日、大聖寺で、12年に一度、酉年に催される酉年御開帳(とりどしごかいちょう)に参拝したさいに住職の許可を得て撮影した。無断転載厳禁。
大聖寺所蔵の「徳川家康公垢付の御夜具」は、平成26年(2016)10月11月に埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区)で行なわれた特別展「徳川家康~語り継がれる天下人」で展示されました。
三葉葵の家紋付きの立派なものですが、寝心地はどんなものだったのでしょうか?
家康、獲物の鶴を朝廷に献上
家康は、鷹狩の獲物として捕らえた鶴を朝廷に献上したとの記録があります。内臓をとり、塩を詰めて昼夜兼行で京都まで送りました。
9代将軍・家重が鶴を京都に送ったとき、街道筋では「お鶴様のお通り」と言ったとのこと。この鶴肉は新年三が日の朝、供御(※4)のお吸い物となりました。
※4 供御(くご)…天皇・皇后・皇族などのお召しあがりもののこと。
家康の鷹が越谷の空を飛んでいる?
鷹狩に使われる鷹は、「ツミ」といいまして、鷹の仲間ではいちばん小さい鳥ですが、最近、越谷市内の某公園で営巣(えいそう)し、5羽のヒナがかえりました。
家康に縁のあるツミが越谷の空を飛ぶ姿を想像するのも楽しいですね。
最後に
来年(2023年)の1月から家康を主人公にした大河ドラマ「どうする家康」が始まります。見るさいに、今日のお話を思い出していただき、家康は越谷が好きだったんだ、という視点で見ていただきますと、また違ったおもしろさがあると思います。
今回は、「家康と鷹狩と御殿」と題しまして、家康と越谷について申しあげたしだいでございます。
宮川進氏の略歴
昭和14年(1939年)生まれ。滋賀県近江八幡市出身。大阪市立大学法学部卒。安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)、埼玉りそな銀行に勤務。2005年から10年余、NPO法人越谷市郷土研究会の会長を務める。現在、こしがや市民活動連合会副会長(広報兼任)。著書に埼玉県の主要な古墳を紹介した『埼玉の古墳めぐり謎とロマンの70基』(さきたま出版会)がある。
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2023年1月8日から始まるNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送を記念して、2022年11月、越谷市北越谷地区センター・公民館主催「令和4年度・歴史探訪講座」の中で「家康と私たちの越谷」と題したお話会が行なわれた。じつは家康は越谷が大好きだった――。