越谷市東柳田町のそば屋・朝日屋。昭和40年(1965)創業。家族二代でのれんを守り続けている老舗だ。2023年6月、42年ぶりに訪問し、カレーライスとおかめそばをいただいた。昔と変わらぬ懐かしの味。昭和と江戸にタイムスリップしたかのようだった。

朝日屋訪問|2023年6月23日

朝日屋|越谷市東柳田町

2023年6月23日。朝日屋は、今回で2回目の訪問だが、前回訪問したのは42年前の昭和56年(1981)。東武伊勢崎線が高架になる前だ。朝日屋の前には踏切があって、踏切の向こうには結婚式場のパレスがあった。
 
ま、それはそれとして……

メニューに目を通す

献立表

朝日屋に着いたのは開店時間30分後の11時半。店内には先客が三人いた。席に座ってメニューに目を通す。今回は、カレーライスとミニせいろのセットをいただくことにした。

カレーライスとミニせいろ

カレーライスとミニせいろ

ほどなくして料理が運ばれてきた。カレーライスは懐かしいというか、郷愁をそそられる。せいろもこれまたうまそうだ。

カレーライス

朝日屋のカレーライス

カレーライスは「これぞ蕎麦屋のカレーライス」。食堂や町中華のカレーライスとは違った、まさにおそば屋さんのカレーライスだ。
 
おそば屋さんのカレーライスの特徴は、とろみのかかった和風だしのカレーソース。スプーンでカレーソースをちょっと刺してみると、弾力ではね返される。この感触がなんともいえない。この弾力のあるカレーソースもそば屋のカレーライスの魅力だ。
 
てっぺんに載っているグリンピースもうれしい。

昭和のにおいが伝わってきた

懐かしの味|そば屋のカレーライス

やっぱりおそば屋さんのカレーライスは食べると落ち着く。昭和30年代から40年代にかけての日本の時代の空気や賑やかな町の音が聞こえてくるようだ。
 
当時、町中(まちなか)を、せいろやどんぶりを何段にも積んで、自転車を片手運転しながら出前を運んでいたそば屋の出前持ちのお兄さんを、尊敬と憧れの目でボクら子どもたちは見つめていた。
 
そんな時代のにおいが伝わってくる朝日屋のカレーライスとせいろだった。

再訪|2023年6月30日

一週間後の2023年6月30日。再び朝日屋へ。今回は、「おかめそば」とカラレーライスをいただいた。

おかめそば

メニュー表|おかめそば

おかめそば――
 
今はもう絶滅してしまったと思っていたが、どっこい、まだまだ健在だった。ボクがおかめそばを見たのはもう57年以上も前だ。小学校4年生のときに、叔母にそば屋に連れていってもらい、そのとき叔母が食べたのが「おかめそば」。それ以来、目にしていない。
 
おかめそばは、江戸末期に下谷七軒町(現在の台東区根津)のそば屋が考案したといわれている。さまざまな具をおかめ(お多福)の顔に見立てて並べた「種もの」で、江戸人の遊び心にあふれている。

これが朝日屋のおかめそばだ

朝日屋のおかめそば

運ばれてきた朝日屋の「おかめそば」を見てみよう。
 
頭頂部はかんざしをイメージした(のかな?)キザギザの飾り卵。髪はワカメ。眉はカマボコ。目はナルト。なんだか目を回しているように見えるのがおもしろい。口は伊達巻き。そしておかめを象徴するほっぺたには麩が使われている。
 
じつに楽しい。見ているだけで「福」がたくさんやってきそうだ。
 
おかめそばのような種ものは、具に目がいきがちだが、朝日屋の「そば」と「つゆ」がこれまたうまかった。じつにうまかった。そば屋だから当たり前だといえばそのとおりなのだが、ここは改めて強調しておきたい。
 
今日は、朝日屋のおかめそばを食べながら、令和から江戸へタイムスリップし、江戸人のしゃれっ気に触れた気がした。

カレーライスとともに

おかめそばとカレーライス

前回、朝日屋で食べたカレーライスがおいしかったので、今回もおかめそばといっしょにいただいた。

幻のしっぽくそばと花巻そば

ちなみに、朝日屋では、昔は花巻そばとしっぽくそばもやっていたそうだ。食べてみたかったなぁ……。

朝日屋|営業情報

朝日屋の外観|越谷市東柳田町

朝日屋の住所は埼玉県越谷市東柳田町4-13。郵便番号は 343-0814 。最寄駅は東武伊勢崎線・越谷駅西口。高架下の道を新越谷方面に400メートルほど進んだ右手、変則十字路の角地にある( 地図 )。営業時間は午前11時から午後8時(中休みなし)。定休日は月曜日。電話番号は 048-962-3901 。駐車場は店の横。4~5台駐められる。

再々訪|2023年7月14日