瓦曽根溜井防水碑
谷古田取水口公園の東側に、樹木が茂った小さな公園がある。
中央に建っている大きな石碑は「瓦曽根溜井防水碑」(かわらぞねためいぼうすいひ)。明治23年(1890)8月、関東を襲った大洪水のさいに、村民が瓦曽根溜井堤の補強につとめて、瓦曽根地域の水害を防いだ旨が刻まれている。
この石碑は大洪水の3年後、明治26年(1893)に建てられた。大洪水のとき、防水をめぐって村同士が対立し、争いに巻き込まれた巡査がひとり殉職したとのことである。
移動
瓦曽根溜井防水碑をあとに、しらこばと橋へ向かった。歩道をガードレールに沿って歩く。
東京葛西用水
ガードレールの右手に見えるのは葛西用水。瓦曽根溜井から取水して南南東に流下していく葛西用水は、「東京葛西用水」とも呼ばれている。
八条用水
50メートルほど歩いた右手に見える暗渠は八条用水。瓦曽根溜井から取水して南東に流下。草加方面へ流れていく。八条用水は、この先の産業道路を越えると開渠(※5)になる。
※5 開渠(かいきょ)…用水路などで蓋をされていない(暗渠=あんきょ=になっていない)水路のこと。
取水口
道路の反対側(葛西親水緑道側)に、八条用水の取水口が見える。上の写真中央の茶色い施設が八条用水の取水口。
しらこばと橋交差点
しらこばと橋交差点に出た。左前方にしらこばと橋が見える。しらこばと橋を通っているのは産業道路(県道115号)。
しらこばと橋を右折
しらこばと橋は渡らずに、親柱(おやばしら)の手前を右折。前方左手に次の見学先、瓦曽根堰が見える。
旧赤水門スポット広場
瓦曽根堰に到着。周囲は旧赤水門スポット広場として整備されている。
地盤沈下の歴史
赤水門スポット広場の入口付近に「県営地盤沈下対策事業 葛西下流地区事業計画」と題した立て看板が立っている。葛西用水の下流地区では、昭和30年ごろから地盤沈下による甚大な被害が発生し、その対策を施した経緯などが地図とともに書かれていた。
越谷市の東側は、地下水のくみ上げによる地盤沈下がひどかった場所です。
譜碑
瓦曽根溜井と瓦曽根堰の歴史が刻まれた譜碑(ふひ)も建てられていた。
四ヶ村用水・谷古田用水・葛西用水・八条用水が取水する瓦曽根溜井は、慶長年間(1596~1615)に造成されました。
瓦曽根堰
続いて、瓦曽根堰を見学。本ツアー二番目のスポットになる。
「慶長年間(1596~1615)に造成された瓦曽根溜井に、寛永10年(1633)、余水流し場が設置され、寛文4年(1664)に石堰(いしぜき)に改められた」という説明があった。
大正8年(1919)から実施された「十三河川改修」に伴って、大正13年(1924)に鉄筋コンクリート造りの俗称「赤水門」が竣工。平成9年(1997)に現在の堰が完成しました。
放水口
瓦曽根堰から取水された瓦曽根溜井(葛西用水)の水は、地下(赤水門スポット広場の下)を通って下流側に放流され、放水口(上の写真)から150メートルほど先で、元荒川と合流する。そこから下流は元荒川ひと筋の流れとなる。
赤水門のモニュメント
瓦曽根堰の左には、役目を終えた赤水門のモニュメントが置かれている。
新旧水門としらこばと橋
瓦曽根堰と赤水門、そのうしろには、しらこばと橋。しらこばと橋の下を流れるのは、瓦曽根溜井(葛西用水)と元荒川。水郷こしがやを象徴するような景観だ。
赤水門があった場所
続いて、旧赤水門があった場所に移動。瓦曽根堰の北東60メートルほど先、元荒川に人道橋(じんどうきょう)が架かっている。
赤水門は人道橋の延長線上にありました。
案内役の秦野氏が、昔の写真と照らし合わせながら、赤水門のあった場所を教えてくれた。
人道橋
瓦曽根堰の見学を終え、人道橋を渡って右折。元荒川左岸側の土手を下りた。土手道を下りると道が一直線に延びている。
東越谷第一ポンプ場
50メートルほど歩いたT字路の左手に見える施設は、東越谷第一ポンプ場。
この施設は下水のポンプ場です。
「おおよそ葛西用水・新方川・元荒川で囲まれた地域の汚水と雑排水を『中川流域下水道中央幹線』に送水する施設」だと、案内役の秦野氏から説明があった。
花田用水の終着点
ポンプ場の前から一直線に北へ延びている道路の東側は暗渠(あんきょ)になっている。暗渠の下は花田用水。このポンプ場の前のT字路の角地が花田用水の終着点。花田用水は、ここから南下して元荒川の左岸側に落とされている。
花田用水は起点から終点まで、すべて暗渠になっています。
花田用水の流路については秦野氏が「『旧・花田用水』の流路の『位置環境』の比較」で詳しく論考している。リンク先を以下に示す。
http://koshigayahistory.org/220323_hanata_yohsui_h_h.pdf
東越谷緑道の終点
花田用水を暗渠にしてその上を緑道として整備したのが東越谷緑道。花田用水の終着点であるこの場所は、東越谷緑道の終点でもある。東越谷緑道の起点は、ツアーの後半に見学する。