2022年4月30日。越谷市郷土研究会・地誌研究倶楽部主催の越谷市増林北部地区をたどる巡検に参加した様子を3回に分けてお伝えする。今回は最終回。古利根川に架かるふれあい橋周辺の知られざる史跡や石仏を訪ねた。

前回までの概要

巡検|林泉寺山門前

前回まで(1回目・2回目)の記事では、逆川に架かる大吉橋からふれあい橋交差点まで、平方東京線周辺を歩きながら、増林西部の史跡と石仏を訪ねた巡検の前半と後半の様子をお伝えした。

今回は、解散後、健脚コースと称し、希望者だけで巡った巡検・番外編の様子をお届けする。

出発|ふれあい橋交差点

ふれあい橋交差点

健脚コースに参加したのは 7人。午後5時半。ふれあい橋交差点を出発。古利根川に向かった。

横井堀|市役所前中央通り

横井堀|市役所前中央通り

ふれあい橋交差点から古利根川に向かう途中、歩道の左側は暗渠(あんきょ)になっている。暗渠(※1)を流れているのは横井堀。増林の西端から東西を横断するように流れてきた横井堀は、ふれあい橋交差点で流路を左に直角に変えて、古利根川に注がれる。

※1 暗渠(あんきょ)とは、蓋(ふた)をして地下に埋設させた水路のこと。外からは見えない。

横井堀排水機場

横井堀排水機場

50メートルほど先の丁字路を左に進む。右側の施設は横井堀排水機場(越谷市増林4138-5)。横井堀の水を古利根川に送り出す施設。古利根川が増水したときは、逆流を防ぐために水門を閉めて、ポンプで強制的に横井堀の水を古利根川に吐き出す。

神明社

神明社|越谷市増林

小道の左側、竹林の中に、小さな木の祠がぽつんと建っている。この社は地元では神明社(しんめいしゃ)と呼ばれている。石仏や石塔などは見あたらない。
 
右に曲がって、ふれあい橋へ

移動|古利根水管橋

古利根水管橋

ふれあい橋の上流側に水管橋が架かっている。名称は古利根水管橋。通行はできない。

水管橋の役割

水管橋

この水管橋は、春日部市にある埼玉県庄和浄水場から水道水を越谷や松伏などへ供給している。

古利根川の景色

古利根川|水管橋とふれあい橋の間

水管橋のたもと、横井堀排水機場の水門(ゲート)付近から古利根川を望む。対岸は松伏町(まつぶしまち)上赤岩(かみあかいわ)。ふれあい橋の下は中州になっていて、釣りをしている人がいた。ブラックバスなどか釣れるようだ。

ふれあい橋|草競馬場跡地

ふれあい橋|草競馬場跡地

ふれあい橋から古利根川上流を望む。水管橋の手前に見えるのは横井堀排水機場の水門。古利根川が増水したときは、逆流を防ぐためにゲートを閉じる。ちなみに、ふれあい橋は、平成9年(1997)に架橋された。

加藤氏

前方、増林側の河川敷(古利根川右岸)には、かつて競馬場があって、戦前まで草競馬が行なわれていました。場所は勝林寺の裏手あたりです。


越谷で競馬が行なわれていたとは驚きだ。

古利根川右岸|土手道

古利根川右岸|土手道

ふれあい橋を横断して、古利根川右岸の土手道を下流に向かって歩く。正面前方に見える杜は、増林村下組の香取神社。

増林村の組境

畑の中の木祠

土手道を50メートルほど歩くと、右手の畑の中に、赤いトタン屋根の小さな木の祠があった。
 
同行した地元の尾川氏の話。

尾川氏

この祠の畦道を境にして、増林村の下組と山中組に分かれていました。祠の左手(香取神社側)が下組、右手(市役所前中央通り側)が山中組です。


案内役の加藤氏が、「増林村の北部には、上組・中組・山中組・下組と、四つの村組があった」と、補足してくれた。

増林下組香取神社

増林下組香取神社

増林村下組の鎮守・香取神社に到着。住所は4232。土手道を下りて、社殿の裏手から拝殿に向かう。

拝殿

拝殿

創建年代はつまびらかでないが、江戸時代の後期には、この場所に鎮座していたようだ。現在の社殿は、昭和48年(1972)に再建されたもの。境内社として稲荷社・天神社・秋葉社が祀られている。

加藤氏

越谷市郷土研究会・山本泰秀(たいしゅう)氏によりますと、神社の東側には、かつて、虚空蔵(こくうぞう)菩薩を祀ったお堂があったそうです。

境内

境内

境内は、杉やイチョウの大木に囲まれ、神域らしい雰囲気がただよっている。庚申塔などの石仏は見あたらないが、慶応元年(1865)の狛犬、明治11年(1944)に奉納された御手洗石(みたらしいし)のほか記念碑などがある。

敷石供養塔

敷石供養塔

御手洗石の横に、駒型の敷石供養塔がある。江戸後期・嘉永5年(1852)造立。正面の主銘は「敷石供養塔」。右側面の脇銘は「嘉永五子十一月吉日」、左側面には、寄進者四名の名前が刻まれている。

力石

力石

巨木の根本に力石が置かれていた。刻まれている文字は読みとれなかった。

鳥居

鳥居

鳥居から石畳の参道と境内を望む。鳥居に向かって左手に見える建物は、昭和52年(1977)に新築された増林下組農村センター。社殿に一礼。香取神社を離れた。

移動|平方東京線

平方東京線

香取神社を出て左へ。平方東京線を進む。時間は午後5時45分。日もだいぶ落ちてきた。