越谷市大里の旧日光街道沿いにある青面金剛像庚申塔を調べた。調査した路傍の石仏を写真とともにお伝えする。東武伊勢崎線91号踏切の南西100メートルの場所にある。
青面金剛像庚申塔
調査したのは 2025年1月3日。民家の塀の角地に建てられた祠の中に青面金剛像庚申塔が一基、安置されている。
全容
石塔型式は舟型。江戸中期・宝永7年(1710)造塔。最頂部左右に瑞雲に乗った日月。正面中央に主尊の青面金剛像。足下に邪鬼と二鶏、最下部に三猿。
向かって右側の銘は「奉造立庚申供養」「三世安楽処」。左に「宝永七庚寅九月」と刻まれている。
青面金剛像
青面金剛像は一面六臂(いちめんろっぴ=顔がひとつで腕が六本)の合掌型。中央の両手で合掌。左上手に法輪、左下手に弓、右上手に矛(ほこ)、右下手に矢を持っている。
邪鬼・二鶏・三猿
青面金剛の足元には、正面を向いたうつ伏せ姿の邪鬼。邪鬼の左右に二鶏、邪鬼の下に三猿が陽刻されている。三猿は向かって左から「見猿」「聞か猿」「言わ猿」
台石
台石には寄進者11人の名前が刻まれている。姓の大半が同じ名字(頭文字「N」)
越谷市郷土研究会の加藤幸一氏によると、この庚申塔は「N家と縁が深い庚申塔と思われ、N家が代々管理している」(※)という。
※加藤幸一「桜井地区の石仏」平成5・6年度調査/平成31年8月改訂(越谷市立図書館所蔵)86頁
場所
青面金剛像庚申塔がある場所は、東武伊勢崎線91号踏切の南西100メートル(越谷市大里839-8)。旧日光街道沿い( 地図 )。
上の写真の左手前方は東武伊勢崎線91号踏切。ちょうど、東武伊勢崎線が踏切を通過している。
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2022年1月22日。越谷市郷土研究会・史跡めぐりの下見に同行。東武伊勢崎線の大袋駅東口から旧日光街道を南下する途中、道ばたで、勢至菩薩像を先頭に縦列している4基の石仏を視察した。かつてこのあたりには勢至塚があったということもひもとけた。
参考文献
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
加藤幸一「桜井地区の石仏」平成5・6年度調査/平成31年8月改訂(越谷市立図書館所蔵)
日本石仏協会編『石仏巡り入門―見方・愉しみ方』大法輪閣(平成9年9月25日発行)
日本石仏協会編『新版・石仏探訪必携ハンドブック』青娥書房(2011年4月1日発行)