開演
そらはな長野さんあいさつ
開演に先立ち、今回、コンサート会場として、お店を提供してくださった、コミュニティcafe そらはな の代表・長野さんのあいさつ。
そらはなは、越谷市の蒲生(がもう)でお店を開いていたが、道路の拡張工事によって、今年(2022年)の9月に、花田(はなた)に移転した。
禮良さんあいさつ
続いて禮良(れいら)さんのあいさつ。プロフィールや演奏活動などの自己紹介のあと、まずは一曲お聞きください、と、琵琶を抱えて(抱えてでいいのかナ)椅子に座った。
一曲目|アキツクニ
一曲目は、禮良(れいら)さんのオリジナル曲で「アキツクニ」(秋津國)。アキツクニとは、日本の古い呼び名。神話の時代、日本はアキツクニと呼ばれていた。
はじめて間近に聞く琵琶の演奏。時空を越え、はるか二千年前の神話の世界から、アマテラスオオミカミとか、コノハナノサクヤヒメとかが、舞い降りてきたんじゃないかと思うくらい幻想的だった。
日本の美しさに思いをはせて演奏させていただきました。
演奏を終えた禮良さんに、会場のみなさん拍手、拍手。
歓談タイム
一曲目の演奏を終え、禮良(れいら)さんと歓談タイム。
琵琶をはじめたきっかけは?
中学生のときに、こしがや能楽堂で、師匠の琵琶を弾く姿にあこがれ、そのまま師匠の門を叩いて入門しました。
中学生のときに琵琶の世界に入った禮良さん。琵琶歴は 28年だそうです。
ちなみに禮良さんの生まれは群馬県沼田市ですが、1歳のときに越谷に引っ越してきて以来、越谷市民歴のほうは●十年。
とっても素敵な着物ですね。
きょう着ている着物は大学生のときに買いました。当時は地味かなと思いましたが、今はとても気に入っています。どうでしょうか?
「お似合いよ~」
「素敵~!」
「若いころの若尾文子さんみたい」
それでは二曲目をお聞きください。
二曲目|耳なし芳一 壇ノ浦
二曲目は「耳なし芳一」。ボクも耳なし芳一なら知っている。琵琶と言ったら耳なし芳一、耳なし芳一と言ったら琵琶。それ以外の琵琶の曲は知らない(笑)
耳なし芳一の話は、簡単にいうと、「壇ノ浦に沈んだ平家の怨霊たちが芳一の弾く琵琶の音に引き寄せられ、なんだかんだあって、芳一が平家の怨霊に耳をちぎらてしまう」と、まあこんなお話です。
小学3年生のとき、父に連れられて東宝の『怪談』という映画を観た。雪女や耳なし芳一の話など、4つの怪談話がオムニバス形式になっている映画で、なかでも耳なし芳一は、おどろおどろしいというか、とにかく怖かったことを覚えている。
弾き語りがはじまった。
禮良(れいら)さんの弾き語りが始まった。バチで、足音や風の音などを表現しながら、ときに静かに、ときに激しく、臨場感あふれる琵琶の音に、なにやら背筋に冷たいものを感じる。
壇ノ浦に沈んだ平家の怨霊たちが、禮良さんの霊験(れいげん)な琴の音に引き寄せられて、会場に来ているのではないか、そんなただらなぬ気配がする。
平家の怨霊たちに、禮良さんが耳をもぎとられたらどうしよう、そのときはボクが義経になって禮良さんを守ってみせる、と、思っていたところで、弾き語りが終わった。
禮良さんの耳が無事でよかった、と、ひと安心したわけだが、とにかく禮良さんの「耳なし芳一 壇ノ浦」は、圧巻だった。
平家の怨霊たちも禮良さんに魅せられて、禮良さんの耳をもぎとることもなく、あちらの世界に帰っていったようだ。
小休止
全身全霊で「耳なし芳一」を演奏した禮良(れいら)さん。ここでちょっと小休止。
琵琶のバチの話になった。きょう、禮良さんが使っているバチの材質はツゲ(柘植)で、お値段もかなり高いそうです。練習用はちょっとお安いツバキ(椿)のバチを使っているとか。
きょう、私が使っているバチは、会社を辞めて琵琶奏者をめざそうと決意したときに、退職金をはたいて買いました。値段ですか? そうですね、琵琶と同じか、それよりもちょっと高いかなぁ…。
うへ~、バチってそんなに高いんだぁ……。