越谷市内の藤の名所
川崎神社
四番目は、北川崎の川崎神社。1月の御歩射(おびしゃ)や7月24日に行なわれる虫追い(埼玉県の無形民俗文化財)が有名。
川崎神社の藤は、地元の人が鑑賞に訪れるだけなので、隠れた藤の名所といえる。
花房
川崎神社の藤の木は、樹勢が旺盛。満開時の藤棚は壮観。花房の長さは30センチから50センチ。青空とよく映える。
芳香
川崎神社の藤の特徴は芳香。見ごろを迎えた藤棚の周囲は甘い香りに包まれ、たくさんのクマバチが蜜を求めてやってくる。
景観
撮影日…2024年4月19日。川崎神社の住所…越谷市北川崎107
虹だんご
五番目は虹だんご本店(大相模不動尊大聖寺の境内)。店舗のひさしに枝を延ばす藤は、見ごろを迎えると、じつに美しい景観になる。
里桜と藤
参道前に植えられた里桜は、藤と同時期に見ごろを迎えるので、藤と里桜を同時に見られるのもうれしい。虹だんごならではの風景だ。
花より団子
満開の藤を愛でながら、焼きたてのだんごをいただくのも、この時期ならではの楽しみ。まさに花より団子。
景観
撮影日…2024年4月18日。虹だんごの住所…越谷市相模町6-442-1。火曜日定休。営業時間は午前9時半から午後5時(だんごがなくなりしだい終了)。駐車場は大聖寺と共有。
県民健康福祉村
最後、六番目は、県民健康福祉村。藤棚の規模は小さいが、樹勢は旺盛。ソメイヨシノが見ごろを終えると、存在感を表わす。
艶やか
県民健康福祉村の藤の特徴は「艶(つや)やかさ」。満開時の花房は、青みがかった紫色になる。艶やかな藤の花はなんとも上品。甘い香りもこれまた上品。
苦難を乗り越え
じつは、この藤棚、過去二回、台風時の暴風で、なぎ倒された近くの大木が藤棚を直撃し、倒壊の被害にあっている。そのつど、傷ついた藤は手当てをされ、藤棚は再建された。
見ごろを迎えた県民健康福祉村の藤を見るたびに、撤去されずによかったと、つくづく、うれしく思う。
景観
撮影日…2024年4月20日。県民健康福祉村の住所は越谷市北後谷82。駐車場は臨時駐車場を含めて581台。
番外|出羽公園・弁天の藤
番外として、弁天の藤と称される出羽公園の藤を紹介する(越谷市七左町4-222)。もともとは綾瀬川に架かる一の橋のたもとにあったが、綾瀬川の改修工事に伴って、平成3年(1991年)2月に、出羽公園に移植された。
弁天の藤には、次のような言い伝えがある。
慶応4年(1868年)、流山で捕縛された近藤勇(※2)が、板橋に向かう途中、綾瀬川のたもとで休憩したさいに、この藤の美しさに感嘆。「綾なる流れに 藤の花にほう わが生涯に 悔はなし」と、辞世の句を詠んだという。確証はない。
※2 近藤勇(こんどういさみ)は、江戸時代末期、新選組を率いた人物。1868年(慶応4年)、34歳のときに、戊辰戦争(ぼしんせんそう)で敗走し、流山(当時の下総国=しもうさのくに=)で捕えられ、処刑された。
350年の老木
弁天の藤の推定樹齢は350年。越谷市内でも最古級。江戸時代初期から今まで命をつないでいる老木だ。ここ二、三年、衰えが目立ち、花も幹の近くに咲く程度で、横に伸びた枝の部分には、花がほとんど見られなくなった。
由緒ある藤なので、少しでも長生きしてもらいたい。
※上の二枚の写真(弁天の藤)は、2024年4月25日に出羽公園で撮影。
特記事項
そのほか、越谷市内には、市役所わきの藤棚など、藤の名所は多々あるが、本記事では、割愛した。あくまでも個人的に好きな藤を選んだので。