中町から越ヶ谷本町へ

旧日光街道(越谷市中町)

旧日光街道を北西に向かって進む。住所は越谷市中町(なかまち)。越ヶ谷宿のほぼ中央に位置する。

畔上順平氏

今、みなさんが立っている場所は、越ヶ谷宿の「本町」(ほんちょう)と「中町」の境にあたります。この先の信号を過ぎると本町に入ります。

久伊豆神社の旧参道

久伊豆神社の旧参道

信号から北東に延びている細い道がある。この道は中町と本町の境界になっている。向かって左手が本町、右手が中町。

畔上順平氏

この道は久伊豆の参道でした。3年に一度行なわれる久伊豆神社例大祭(越ヶ谷秋まつり)では、久伊豆神社を出発した御神輿は、今でもこの参道を通って旧日光街道に出ます。

河内屋旅館

鍛冶忠商店

越ヶ谷本町に入る。右手に見えるのは、創業300年を誇る河内屋旅館(かわちやりょかん)。住所は越谷市越ヶ谷本町8-2。江戸時代前期の創業で、建物は建て替えられているが、宿場町時代から営業を続けている。

黒板塀の東口

黒板塀の東口|河内屋旅館

旧日光街道に面した今風の正面玄関に対し、旅館の東口は黒板塀になっていて趣がある。

はかり屋

はかり屋|越ヶ谷本町

河内屋旅館の50メートルほど先にあるのは、はかり屋。住所は越谷市越ヶ谷本町8-8。明治38年(1905)ごろに建てられた土蔵造りの二階建て建物(旧大野屋邸 秤屋=きゅうおおのやてい はかりや)をレストランやショップを備える古民家複合施設として再生させ、2018年4月にオープンした越ヶ谷宿の人気スポット。

中庭

はかり屋|中庭

はかり屋には、フランス料理のお店のほか、リラクゼーションマッサージ(yururi)、越谷で有機農業を営む遊佐農場(ゆさのうじょう)、曜日ごとに店舗が入れ替わったり土日限定でイベントが催せる週替わりフリースペースを提供する naya(なや)などの店舗が入っている。

会田金物店

会田金物店

はかり屋の対面にあるのは会田金物店(あいだかなものてん)。越谷市越ヶ谷本町3-32。宿場町の面影を残す建物だ。
 
よく見ると、道路に対して建物が斜めに配置されている。これは、馬をつなぎとめておく馬留(うまどめ)のスペースを確保するため。お客さんが馬に乗って買い物にきた当時がしのばれる。
 
会田金物店は、幸いにも明治32年(1899)の大火(通称・芋金火事)を免れた。

畔上順平氏

越ヶ谷宿で現存する建物としては最古のものだという話ですので、明治前期か、もしかすると江戸時代の後期に建てられた可能性がある建物です。

遠藤家の蔵

遠藤家の蔵

会田金物店から30メートルほど歩くと、目に止まるのが、遠藤家の土蔵。遠藤家は、かつて白生地の木綿問屋を営んでいた。土蔵にツタが這う風景は郷愁をそそられる。

市神社(本町神明社)

市神社(本町神明社)

遠藤家の蔵から15メートルほど戻る。道路(旧日光街道)の対面(丁字路の角)に、小さな神社が見える。地元では市神様(いちがみさま)と呼ばれている市神社(いちじんじゃ)である。
 
かつて越ヶ谷宿では、二と七の日に(月6回)六斎市(ろくさいいち)という市が開かれていて、市神社(市神神明社)は、その市場の守り神として祀られていた。もともとは元荒川に架かる大沢橋のたもとにあったが、道路の拡張によりこの場所に移された。

越ヶ谷宿は、本町(ほんちょう)中町(なかまち)新町(しんまち)の三つに分かれていて、それぞれの町に鎮守社が祀られている。この市神社は本町の鎮守・本町神明社。ツアーの最初に訪れた神社が新町の鎮守・新町八幡神社、二番目に詣でたのが中町の鎮守・中町浅間神社となる。