3日目|手回しオルゴールとリュートの共演
三日目。2023年3月5日。こうじや音楽館での雛めぐりイベント最終日は「手回しオルゴールとリュートのミニコンサート」が、行なわれた。
手回しオルゴール(オルガニート(R))奏者・シーコーム(C-comb.)さんとリュート演奏家・中村真弓さんの異色のコラボ。手回しオルゴールのなんともいえぬやさしい音色と透きとおるような中村さんの歌声に魅了された。
グリーンスリーヴズ~ドレミのうた
一曲目は、中村さんの歌とリュート演奏で、「グリーンスリーヴズ」。続いて、シーコームさんの手回しオルゴールで「ドレミのうた」
手回しオルゴール(オルガニート(R))とリュート、なかなか見ることができない異色のコラボ。歌と演奏が始まると、会場が、ほのぼのとした雰囲気に包まれた。
奏者紹介
シーコーム(C-comb.)さんと中村真弓さんの略歴を簡単に紹介する。
シーコームさん
手回しオルゴールアーティストのシーコーム(C-comb.)さんは、地元・越谷を中心に、各種イベントや施設などで手回しオルゴールの演奏活動を行なっている。毎年、秋に行なわれる「越谷市民文化祭」にも毎回出場。
2020年11月、日本テレビ『ぶらり途中下車の旅』で紹介されたほか、Web雑誌「彩ニュース」にも掲載されるなど、地道な活動が評価されている。
シーコーム(C-comb.)さんの活動などについては、シーコームさんのインスタグラム( ccomb.2 )を要チェック。
中村真弓さん
中村真弓(なかむらまゆみ)さんは、前日(二日目)に続いての出演。昨日は琵琶とのコラボで、今日は手回しオルゴールとの共演になる。
さいたま市出身の中村さんは、合唱団指導、各種施設の講座やサークルになどで歌の会を指導するほか、リュート弾き語りで日本の歌を歌っている。
中村さんのコンサートや活動などについては、中村さんのインスタグラム( m.n.cantabile )を要確認。
春の歌メドレー
続いては、シーコームさんの手回しオルゴールと中村さんの歌とリュート演奏で、春の歌メドレー。曲は、「春よこい」「さくら」「どこかで春が」「春よ、来い」。全4曲。
手回しオルゴールのやさしい音色と、中村さんの透きとおるような歌声は、郷愁をそそられる。目をとじると日本の原風景が浮かんでくるようだ。
会場からは、いっしょに歌う歌声も聞こえてきた。
楽器紹介
春の歌メドレーのあと、リュートと手回しオルゴールの楽器の紹介があった。
リュート
リュートは、中世、15世紀、16世紀ぐらいに、ヨーロッパで大流行した楽器です。日本でいいますと、織田信長とか、豊臣秀吉の時代ですね。
もともと、中東・アラブの国にウードという楽器があった。今でもある。そのウードが、東のほうに旅をして琵琶になり、西のヨーロッパに渡って、リュートになったと言われている。
リュートは大きいわりには、とっても軽いんです。中身は空洞で、薄い板を貼り合わせています。きゃしゃな楽器ですので、持ち運びにはとても気をつかいます。
弦の材質はガット弦。ヒツジの腸をゆって作られている。
中村さんの使っているリュートは、ルネサンスリュートといって、弦は 8コース。本数は15本。第1コースは、1本の弦(単弦)だが、あとの 7コースは複弦といって、ひとつのコースに 2本の弦が張ってある。
手回しオルゴール
手回しオルゴールの音を出す「くし歯」は20本あって、くし歯が長いと低い音、短いと高い音が出ます。また、手回しオルゴールにはシャープとフラットがありません。
ちなみにシーコームさんが使っている手回しオルゴールは、正式にはオルガニート(R)と呼ばれる(※1)。オルガニートとは、パンチカードを使った手回しオルゴールのこと。
※1 「オルガニート(R)」は日本電産サンキョー株式会社の商標および商品名。1970年(昭和45年)に、長野県諏訪にある株式会社三協精機製作所(現・日本電産サンキョー株式会社)によって開発・製造・販売が開始された。出典:オルガニート愛好会「オルガニート(R)」とは( https://organette.jimdofree.com/organette/ )
手回しオルゴールは、曲カードを入れて、ハンドルを軽く回すだけで演奏できますので、小さなお子さまから高齢者の方まで、音符が読めなくても手軽に音楽が楽しめます。紙製の曲カードに自分で穴をあけて(パンチして)オリジナルの曲カードもつくれます。
自分で好きな曲を作れるのも手回しオルゴールの魅力といえそうだ。
中村真弓さんのソロ演奏
楽器解説のあと、中村さんのソロ演奏で、2曲。1曲目は「シチリアーノ」。作者は不明。中村さんによると、「シチリアーノ」は、リュートど真ん中の曲とのこと。
2曲目は「ファンタジア」。作曲者はフランチェスコ・ダ・ミラノ。16世紀、イタリア・ルネサンス期の有名な作曲家で、世界三大作曲家と呼ばれている。
シーコームさんのソロ演奏
続いて、シーコーム(C-comb.)さんのソロ演奏。一曲目は、シーコームさんのオリジナル曲「古い振子時計」(old pendulum clock)。「大きな古時計」にインスピレーションを得て作った曲だそうだ。
最初は調子よく動いていた古い振子時計が、途中から針が反対回りになって、次に、時計の進み方がグルグルグル~っと、速くなって、最後は力尽きて止まってしまった、というストリーの曲になっています。
※上記の YouTube 動画は、出足の数秒間、カットしている。
二曲目は
シーコームさんが「二曲目は、会場のお客さんに選んでもらいましょうか」と提案。いちばん前の席に座っていた男の子が前に出て、数種類の曲カードの中から一枚を選んだ。
男の子が選んだ曲カードは「人形の夢と目覚め」
人形の夢と目覚め
「人形の夢と目覚め」は、もともとはピアノ初心者のための作品です。お風呂が沸いたときの曲ですね。途中で、そのフレーズが出てきますので、みなさん、「あ~、あの曲か」と思って、聴いてください。
うれしいひなまつり
「人形の夢と目覚め」は、もともとはピアノ初心者のための作品です。お風呂が沸いたときの曲ですね。途中で、そのフレーズが出てきますので、みなさん、「あ~、あの曲か」と思って、聴いてください。
本日、最後の曲は手回しオルゴールとリュートの共演で「うれしいひなまつり」
あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえたいこ
きょうはたのしい ひなまつり
雛めぐりイベントの最終日、トリを飾るにふさわしい曲だ。
アンコール曲
演奏終了後、会場からアンコールの声がかかった。「それではアンコールにおこたえしまして」と、シーコームさんと中村真弓さんの共演で、「いつも何度でも」が、演奏された。
「いつも何度でも」は、映画『千と千尋の神隠し』の主題歌として知られている。最近では、安倍元首相の国葬でも演奏され、話題になった。
コンサート終了
45分間にわたって行なわれた手回しオルゴールとリュートのミニコンサート。満員の会場からは、シーコームさん、中村真弓さんに大きな拍手が送られた。コンサート終了後、二人を囲んで、お客さんとの懇談となった。
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2021年11月10日。越谷技博の講座「手回しオルゴールの世界」に参加した。講師はオルガニート(手回しオルゴール)演奏家・武田知絵美さん。手回しオルゴールの仕組みを学んだあとは自作の曲カードづくりにも挑戦。コーヒータイムにはミニ演奏会もあり、オルガニートの音色に魅了された。
追記
最後に、今回の越ヶ谷宿雛めぐりイベント・こうじや音楽館のお話会とミニコンサートを企画し、当日は司会進行をつとめた旧日光街道越ヶ谷宿を考える会の鳥越(とりごえ)氏にも拍手を送りたい。このような異色のコラボ演奏が聴けたのもひとえに鳥越氏のおかげである。
鳥越さん、ありがとうございました。