越谷市南荻島の中土手(土手道)沿いにある天保12年(1871)造立の文字庚申塔を調べた。調査日は2025年5月14日。石塔の上底面には盃状穴(凹み穴)が見られた。
文字庚申塔|中土手沿い
石塔の横の道は中土手。通称・土手道。
元荒川橋のたもとから草加バイパス(国道4号)の東側を草加バイパスとほぼ平行して、文教大堤通りと交差する地点まで、南北に縦断している。
正面
庚申塔の造塔は江戸後期・天保12年(1841)。石塔型式は山状角柱型。正面の中央に「庚申塔」(こうしんとう)と刻まれている。
左側面
左側面(向かって右側)の銘は「天保十二丑年五月吉日」
右側面
右側面(向かって左側)の下部には寄進者の名字(㑹田氏)が刻まれている。
盃状穴|上底面
上底面に盃状穴(はいじょうけつ=凹み穴)があった。
盃状穴については諸説あるが、なんらかの目的で人為的に彫られたと考えられている盃状(さかずきじょう)の穴(凹み穴)で、石造物に多くみられる。呪術や土俗信仰と深くかかわっているともいわれているが、詳しいことはわかっていない。
越谷市内には、盃状穴(凹み穴)のある石造物が、ほかにもある。
NPO法人・越谷市郷土研究会のホームページに「盃状穴(凹み穴)のある越谷市内の石造物」というわたしの論考が掲載されている。リンク先を以下に示す。
https://koshigayahistory.org/r6_b_g_02.pdf
場所
文字庚申塔の住所は、埼玉県越谷市南荻島87-9( 地図 )。場所は、越谷流山線と文教大堤通りが交わるY字路(信号)の北50メートル。中土手(土手道)沿い。月極駐車場の角地。
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参考文献
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
加藤幸一「荻島地区石仏」平成14年度調査/平成29年3月改訂(越谷市立図書館蔵)
越谷市役所『越谷ふるさと散歩(上)』越谷市史編さん室(昭和54年8月2日発行)
日本石仏協会編『石仏巡り入門―見方・愉しみ方』大法輪閣(平成9年9月25日発行)